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2007年12月の読書
今は『コレラの時代の愛』を読んでいます。フロレンティーノ・アリーサがあまりにもかわゆいので身悶えています。年内には終わるだろうけど、年末年始は実家に帰るので、一足早くこれまでの読了本を。

『BLACK BLOOD BROTHERS 5風雲急告』あざの耕平(富士見ファンタジア文庫)
『BLACK BLOOD BROTHERS 6九牙集結』あざの耕平(富士見ファンタジア文庫)
『思考の整理学』外山滋比古(ちくま文庫)
『ゴッドスター』古川日出男(新潮社)
『二〇〇二年のスロウ・ボート』古川日出男(文春文庫)
『ミノタウロス』佐藤亜紀(講談社)
『「待つ」ということ』鷲田清一(角川選書)

感想と、今年の読書雑感は以下。
『BLACK BLOOD BROTHERS 5 風雲急告』
『BLACK BLOOD BROTHERS 6 九牙集結』あざの耕平

お、兄弟の運命にまつわる物語がいい感じに転がり始め、期待感上昇中です。私には結末がさっぱり予想できません。あーなっても納得できないしこーなったらオジャンだし。どうなるのかなー?
ゼルマンVS龍王セイ、かなり読み応えありました。セイがすごいっていうのはもちろんあるのですが、それ以上に、ゼルマンの態度というか心意気というか。勝算なしの闘いに挑むくせに、侍風情でもなくやけっぱちでもなく、でもすごく納得させられてしまう。奥深しゼルマン・クロック。ちなみに、ゼルマンとサユカの関係もすごく好きです。
あとがきにもちらっとありましたが、確かにサブタイトルほど九龍チャイルドは活躍していない……それにしても私、ザザがちょーっ嫌いだ!(笑)

『思考の整理学』外山滋比古
この本、なぜか最近すごく売れてます。気になって読んでみたところ、内容は面白く文章も大変好みで、良い一冊でした。
メモノートの作り方など、自己啓発系ビジネス本かと一瞬勘違いしてしまいそうな項目もあり。とにかくメモを取り、通し番号を振って、使えそうなのは別のノートに移し……でも驚くほど実用度低かったりする。だってこれは、寝かせることが一番のキモだから。アイデアを何年も寝かせようなんて、現代的観点からすれば無理でしょう。「使えると思って買ったのに」とがっかりしてる方も、もしかしたらいるのかも。文学やらなんやら、生きるのに意味なし甲斐なしの所業が大好きな人間には面白いんだけど。
一番興味深かったのは、読書方法に関する項目でした。既知の再認であるA読み、未知を知るB読みなどとあって、でも私はA'あたりにもうひとつの読み方を設置したい。今、私が一番好きなタイプの読書として。

『ゴッドスター』古川日出男
あとがきにあたるだろう部分には、「この作品には読解は要らない」とありました。すごく説得力がある。読むことと読解は別物なんだと、こんなに感じたことは初めてかもしれません。
『サウンドトラック』を読んだ時に、一種の拒絶というか、解られてたまるかみたいな感じがありました。でも『ゴッドスター』の場合はそうではなくて、主体になれということ。ものすごくスピード感のある作品なのですが、主体になっちゃってるから、ふつうに言うスピード感とはまた違っています。車で暴走する時の窓の景色ではなくて、全力疾走時のほっぺのプルプル感です、と言えば解るかな(解らん?)。
しかし終盤でレースから脱落してしまったのは、悔しかった。ついていけなくなってしまったんだ……ちくしょう……。

『二〇〇二年のスロウ・ボート』古川日出男
春樹の『中国行き〜』は読んでないのですが、いいのかな。まあいいや。
庖丁人のガールフレンドがとても好きでした。主人公が開いたカフェ「ヘイトカ(へいとか)」は、店名がヘイト力(へいとりょく=Power of Hate)の間違いである通りに闘いの舞台であって、庖丁人はもっとも象徴的でした。かっこいいー。
夢と現実を描いた作品でした。夢みたいだった現実、っていうか。既成の概念では説明できないリアリティがあって、楽しかった。鏡や手紙のようにややベタなものと、「クロニクル」のような存在が、陰陽マークみたいに噛み合ってる気がしました。クロニクルは、多分、個人が実感するリアリティみたいなもので(notリアルでも)。そして手紙とかに嘘や幻想性を感じたのでした。

『ミノタウロス』佐藤亜紀
いきなりですが、ポトツキがツボ。今年出逢ったベストキャラに挙げちゃう。
出来事、エピソードが積み重なった形としてではなく、ただ流れているものとしての時間、という印象の小説でした。そういうのってけっこう無いと思うのだけど。
私の好きな小説の中には、虐殺自体を虚と描いた作品がいくつかあります。が、『ミノタウロス』は、殺すごとに本人が虚ろになっていくみたいだ。ここに当然、大きなテーマである「人間って?」が被ってくるのだけど、殺しその他の行為、あるいは終盤の決定打によって、主人公の人間性が剥奪されていったとはまさか考えていません。だって主人公は輝かしくさえ見えたし。作品には、善/悪などが代表するボーダーの類が見あたらなかったし。その手の構造が見えないから自分が何を見てるのか解らなくなるし。
多分手がかりになるんだろうな、と思ったのはウルリヒの飛行機でした。どこまでも飛翔し果てなく墜落し、轟音と爆風、勇ましく優美な姿。描かれた飛行機の夢。ヒントのヒントくらいならこのへんにあるような。
さて人間ってなんなんでしょうね。(←あっ、丸投げ)
それにしても美しい文章を堪能しました。描写が素敵で……言葉が少ないのに、読者に委ねる穏やかさではなく、絶対的に厳格。読んだ全員がきっと同じ画を見たに違いない、と確信できるような。

『「待つ」ということ』鷲田清一
少し賢くなろう! と開いたのに、序盤からぴいぴい泣く羽目に。まさか感動モノだとは。とんだ見当違いだった……。いや、もちろん哲学的な論なんだろうとは思うけど、それ以上にもう胸がギューッと。待つ者の、凛とした、あまりにも純粋な姿に心打たれました。
で、肝心の結論は、掴み損ねた(笑)。というか、おそらく掴んだけど未言語です。賢くは、なれませんでした。

***

改めて、2007年の読書記録を読み返したところ、その少なさに圧倒されました(苦笑)。こ、これだけか! 来年はどしどし読むぞう。
牧野修古川日出男、楽しかったです。まだ読み残しているのでお楽しみは引き続き。五代ゆうのシリーズもね。
それ以外で特に大好きだったのは、森見登美彦『きつねのはなし』異形コレクションの『伯爵の血族 紅ノ章』かな。森見は、デビュー作と最新作以外全部読んだ(はずだ)けど、私にとっては『きつね〜』が飛び抜けてました。
長く気に掛かっていた『虚無への供物』『人間機械論』、『百年の孤独』をようやく読めて、良かったです。じゃあ来年の「長く気に掛かってた」には『黒死館殺人事件』『オリエンタリズム』『さかしま』を目標として挙げてみます(笑)。
ガルシア=マルケスは来年も読むでしょう(天気予報みたい)。カズオ・イシグロ、小川洋子、神林長平、赤江瀑、西尾維新、奥泉光も引き摺りたいです。
衝撃的な本はあまりなかった気がするけど、こうしてみると、先に繋がる2007だったかもしれません。
posted by なかがわ希 | 19:17 | 読書感想 | comments(0) | trackbacks(0) |
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